TAインタビュー 1

理学院 化学系 学士課程 4年 ヨム・サンウン(Yeom Sangeun) さん

2022年度の探究ワークショップの試行授業にTAとして参加した、理学院化学系4年生(インタビュー当時)のヨム・サンウン(Yeom Sangeun)さんに、参加の動機や、授業の感想などをお聞きしました。ヨムさんは、東工大の中にはあまりない、文系科目を積極的に取り組みたい人たちが集まることのできる場所が本ワークショップであると話してくれました。

専門の化学以外に人文社会科学も

写真は授業中の様子。以下同。

 

- まず、探究ワークショップのTAを引き受けられた動機を教えてください。

ヨム: 大きくは、理工系だけでなく人文社会科学に関する分野にも触れておきたいと思ったからです。自分の専門は化学で、特に「有機合成」を扱っています。これは例えば、薬として用いられるような複雑な分子を簡単な分子から作ることです。研究は主に実験で、日夜実験機器を回すような日々をおくっています。

ただ理工系の研究・科目だけが全てではないと思っていて、文系的な教養も学びたいと常に思っていました。そこで今回、人文社会科学に関するワークショップの授業にTAとして入らないかというお誘いをいただき、参加した次第です。

文系科目を楽しめる人たちが集まっている場所

 

- 実際、ワークショップの授業にTAとして参加してみていかがでしたか?

ヨム: そうですね。東工大の中に文系にも興味を持つ人がこんなにもいると知ることができて、嬉しかったです。東工大生の全体的な傾向として、あまり文系科目の話をする雰囲気がないように思います。自分の周りにも「専門の科目が取れていればいい」という心持ちの人が多く、そもそも文系に関する話題が出てこない感じです。

でもそれは、すべての東工大生が文系の話題に対して興味がないからではなく、仮に興味があったとしても、そういった雰囲気があるからその興味関心を表に出せていないだけだと思います。

今回、ワークショップの受講生や他のTAの人たちなど、文系の話題について活き活きと話している人たちと出会えて、本当によかったです。

聞く姿勢から、人との関係作りへ

 

- ところで、今回のTA業務を経て何か学びはありましたか?

ヨム: 学生から話を聞き出す、引き出す姿勢とでも言いましょうか、それを学べた気がします。このワークショップは基本的にグループワークがメインで、学生と1対1で関わることが多くありました。またそこでは「自分が考えたい“問い”とは何か」という点が重視され、学生自身が自分の興味や考えたいことを言語化していきます。私はそれをサポートする立ち回りで学生の話を聞いていました。

相手が何を話したいのかを意識して会話をすることは日常的にあります。ただ、今回は最終的に「研究計画書」を作ってもらう必要があるため、相手が納得のいく形に落とし込めるように、相手の考えを引き出す姿勢をより意識しました。

 

- その学びは、TA以外の活動でも活きたりしていますか?

ヨム: そうですね。身近な事例ですが、研究室でのコミュニケーションに活きてきそうです。研究室によるとは思いますが、研究室ではみんな自分の研究に夢中になっているため、話題は研究の話に収束しがちです。もちろん、そのような話は楽しいですが、お互いを知るためにも、研究以外の話も共有できればなと思っていました。

そこで最近は、同じ研究室の人たちが普段どんなことに興味があるのかを自然と聞き出すことを意識しています。そのようなときに、今回のワークショップで学んだ、相手が話す言葉の表面ではなく、その下にある考えを引き出す姿勢が活きてくるのではと考えています。

話し方や姿勢をいきなり変えることは難しいとは思いますが、今回のワークショップでの経験を活かし、豊富な話の場を作っていく能力をこれからも身につけていきたいです。